リフォームの見積もりを取ったことがある方はご存知の通り、リフォーム工事の見積もりを見ていると、数量の単位が「○m」や「○本」、「○箇所」などの他に「一式」という単位があります。

 非常に不明確な「一式」という単位。何が含まれていて何が入っているのか不安に思った方も少なからずいるはずです。

 なぜ一式という単位になるのか、この一式見積もりとなる理由には三つの理由があります。

 ここでは一式見積もりに隠された秘密を説明していきます。(秘密というわけではありませんがね…)

あなたのお悩み
  1. 「一式」って何が入っていて何が入っていないのか分からない!
  2. 「一式」ってなんだか誤魔化されている気がする!
  3. ちょっと直すだけでも「一式」でこれくらい費用かかるの!?

見積もり項目を減らすため

 一つ目の理由としては「細かな材料の記載を一まとめて見積もり項目を減らすため」です

 例えばトイレの床を大工さんで作ってもらうとすると、材料としては木材数種類が数本、コンパネが数枚、ビスが数本、ボンドが少量となります。一つ一つの材料を書いていくと、細かな見積もり項目が増えすぎて見にくくなりますので、こういった場合は「一式」とまとめます。

 トイレの床だけならまだしも、家全体の工事となると、それだけで見積もりが9ページや10ページと多くなり、見積もりに何が入っていて何が入っていないのかが逆に見にくくなってしまいます。

職人さんの最低限の給料

 二つ目の理由としては「職人さんの最低限の給料を保障すると」いった考えです。

 壁紙を張るクロス工事では、1室や家全体を張り替える場合は800円/mや900円/mなど、1m当たり〇〇円(もしくは1㎡あたり〇〇円)という見積もりとなります。

 しかし、例えば壁に穴が開いたから一部だけ張り替えてほしいと2mだけの張替えを依頼した場合、2m×800円=1600円でしてくれるかというと、絶対にしてくれません。2m張るだけでも交通費や数時間作業時間が取られますので1600円では割に合いません。

 例えば1日の日当が3万円であったら、たとえ1時間の作業でも半日分の1万5千円は最低限支払ってあげないとダメなのです。その1時間の作業の為に他の1日仕事を断ることもあり、そのような仕事ばかりでは食べていけないので、10分で終わる仕事であっても2時間で終わる仕事であっても「職人さんには最低料金がある」という認識でいてください。

どんぶり勘定

 三つ目の理由としては「余裕をみるため」「どんぶり勘定」ということです。

 通常の見積もりは上記の一つ目の理由で書いた通り、リフォーム工事では材料を一つ一つ拾い出して計算していきますが、予測していた材料より余分目にかかることが多いため、予測する使用材料より少し多く見積もることが多いです。

 また最悪の場合を考えて、「念のため〇〇を取り換える必要があるかもしれないから、その分も入れておこう」と見積もりをする場合や、「これくらいだろう」とどんぶり勘定を行う場合が多いように思えます。

一式見積もりは危険?

 私の考えでは「余裕をみるため」や「どんぶり勘定」の一式見積もりが一概に悪いとは言い切れません。

 このような理由で見積もりを出すリフォーム業者は、予測外の出来事が起こった場合、黙って無料で直してくれていたり、新しく取り換えてくれていることが多いのです。

 そもそも後から追加請求しようとしたところで「一式見積もりに使用材料・工事範囲・金額の根拠がない」ため、リフォーム業者も請求できないのです。

 しっかりと追加請求してくる業者は大概は見積もりに明確な根拠があります。材料を一つ一つ拾って書いている(例:コンパネ6枚、べニア板4mm×6枚、根太…)か、工事範囲を記載している(例:1階廊下、和室、洗面室…)など、見積もり段階で工事内容や工事範囲を記載しています。

 「一式見積もり」で備考欄にも施工範囲も使用材料も数量も何も書かれておらず、それで根拠もなく追加請求してくるリフォーム業者は完全にアウトです。稀に「見積もりに書くのを忘れていたから」といって追加工事に便乗して乗せてくる業者もいます。

 「防湿シートは一式には入っていない」と明らかに必要な材料が見積もりには入っていないという輩がいるから驚きです。そんな業者はいないでしょ…と思われる方もいるでしょうが、感覚としては10%程の業者は平気でこのようなことを言ってきます。

 大工工事「一式」、塗装工事「一式」などと見積もりに出てきたら、どこまでの範囲をどうするのかを確認し、言った言わなかった問題を避けるためにも、きちっと紙に残してもらうのがトラブルを防ぐ方法となります。

 一式見積もりの中に何が入っていて何が入っていないのかを聞いて見積もり金額や内容を整理するのは難しいと思いますので、トラブルを未然に防ぐためにも、リフォームはコンサルタントと一緒に相談しながら行った方が安心です。


まとめ
  1. 工事項目が見やすい
  2. 工事内容は分かりにくい
  3. 解体後何があるか分からないので、余分目に費用を見積もることも…
  4. どんぶり勘定の場合もある