昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる?昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)の家はいったい震度いくつくらいの地震までなら耐えられるのか、あなたも一度は気になったことがあると思われます。

「お金さえあれば耐震リフォームをするのに…」「お金があれば新築に引っ越すのに…」、地震が来るたびにそう思い、家の中で怯え、「このまま家がつぶれて死んでしまうのかな…」なんていう最悪のイメージをしてしまいますよね。

中には「私の家は大丈夫!」「私が生きている間に大阪に大きな地震なんて来ない!」なんていう心理を持っている方も数多くいらっしゃると思われます。

ここでは「昭和56年5月31日以前の建物は震度いくつまで耐えられるのか」ということと「大阪市に大きな地震が来る確率」を併せて説明していきます。

あなたのお悩み
  1. 昭和56年以前の私の家はどのくらいの地震に耐えられる?
  2. 大きな地震ってくるの?

昭和56年以前の家は計算上震度〇までしか耐えられない

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる? 昭和56年5月31日以前の建物は

①床面積に応じて必要な耐力壁(筋交いなど)を入れるといった「壁量規定」

②基礎の形式が(コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の布基礎)

が決められていました。

簡単に説明すると建築基準法ができてから、“耐力壁の量”、“軸組の種類”、“基礎の形式”が順次決められました。

昭和56年5月31日以前の建物の特徴としては決定的に

①家が重たい(屋根・壁)

②柱と土台、柱と梁を固定する金物が無い

③耐力壁(筋交い等)が少ない

ということが言えます。

昭和56年5月31日以前の家を耐震診断すると大概は評点(耐震性の評価)が0.3~0.5程度(倒壊する可能性が高い)と悪い結果となります。

これは仕方がありません。現在の耐震診断は震度7程度の巨大地震を想定しており、「巨大地震に耐えられるために必要な強さ」に対して評価されます。

昭和56年5月31日以前の建物は、「巨大地震」を想定していたのではなく「震度5の地震で耐えられる倒壊・崩壊しないレベル」を想定して家を作っていたので当然の結果といえます。

 最大震度7を記録した平成7年の阪神淡路大震災においては旧耐震である建物が約29%以上大破・倒壊しました。

昭和56年5月31日以前の建物は

  • 基本的には基礎に鉄筋が入っていない
  • 家が重たい
  • 耐震金物が入っていない
  • 耐力壁の量も不足している
  • 耐力壁の配置バランスが悪い
  • 震度5程度の地震に耐えられるように設計していた

実際は震度7でも耐えられる!?

まずは下のグラフをご覧いただきましょう。こちらは内閣府が発行している「南海トラフの巨大 地震建物被害・人的被害の被害想定項目及び手法の概要」という資料の抜粋です。

こちらのグラフは各年代の住宅が全壊する確率をしてしており、昭和56年以前の建物は「茶色の〇印」のグラフとなっています。

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる?

これを見る限り「震度6強でも耐えられるんじゃない?」と思われるかと思います。

実際に最大震度7を記録した平成7年の阪神淡路大震災においては、昭和56年5月31日以前の建物の約29%以下が耐えられています

勿論、直下型地震なのかプレート型地震なのかで被害は大きく変わってきますが昭和56年5月31日以前の建物すべてが危険ということではありません。耐震診断をすると、住宅の評点が0.7以下(倒壊する可能性が高い)が当たり前のように出ますが、それでも耐えられる家は確実にあります。

大阪に来る巨大地震、大きさと確率

中央構造線断層地震

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる?

あまり聞きなじみのない地震ですが、震度分布を見てみると大阪市のほとんどの地域が「震度5弱」となっており、生野区、平野区、東住吉区、住之江区、東成区、東寝屋川区などの一部では「震度5強」と予測されています。

平野区の東側一部では震度6弱となっていますが、この地震では「震度5強」以下の揺れが広範囲に来るということは、理論上は旧耐震基準で建てられた昭和56年5月31日以前の建物であっても倒壊する確率は低いということになります

また、一部では物が転倒、転落したり、瓦などが落ちる被害もおきます。
中央構造線断層地震の発生確率は今後30年以内に1%未満と予測されています。

有馬高槻断層帯地震

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる?

こちらの地震もあまり聞きなれないかと思われますが、先ほどの中央構造線断層地震に比べると緑色の「震度5強」と黄色の「震度6弱」の範囲が広くなっていることがわかります。

2018年6月に発生した大阪府北部地震で損傷を受けた旧耐震基準の家は、一部で倒壊倒壊する可能性があります。

有馬高槻断層帯地震の発生確率は、今後30年以内にほぼ0~0.03と予測されています

南海トラフ巨大地震

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる?

有馬高槻断層帯と比べてもほとんど震度5強や震度6弱の範囲が変わっておらず、「南海トラフ巨大地震も大したことないな」と思ってしまうほどです。しかし、津波被害も想定できることから、被害は過去最大級と予測する方もおり、決して油断はできません。

南海トラフ巨大地震の発生確率は今後30年以内に70%~80%と非常に高い確率で来ると予測されています。

生駒断層帯地震

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる?

生駒断層帯地震クラスになると、一気に黄色の「震度6弱」、オレンジ色の「震度6強」の範囲が増えます。

震度6強となると、固定していない家具の殆どが倒れ、過去の地震でダメージを受けていない住宅でも倒壊することがあります。

生駒断層帯地震の発生確率は今後30年以内にほぼ0~0.2%と予測されています。

上町断層帯地震

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる?

上の図を見るとほとんどの地域が震度5強以上となっています。大阪市中央区、天王寺区、浪速区、寝屋川区、都島区、旭区などの一部では震度7が予測されております。現行の耐震基準でもギリギリクリアしている家でも傾く可能性が高くなります。

殆どの地域で瓦の落下、外壁の落下、塀の倒壊、住宅の倒壊、傾きが見られ、大阪市における被害が最大となると予測されます。

上町断層帯地震の発生確率は、今後30年以内に2~3%と予測されています。

なんだ、「たった」数%の確率か

昭和56年以前の家 震度何まで耐えられる? 以上の地震の発生確率を見て見ると0%や0.2%、3%などという低い確率であることがわかります。「3%」と聞けば「ほとんど発生しない」と思ってしまいますよね。

3%というと、あなたの家が「空き巣被害にあう」確率とほぼ同じです。

ちなみに

台風で被災する確率は0.48%

火災で被災する確率は1.9%

交通事故で死亡する確率は0.2%

ガンで死亡する確率は6.8%

阪神淡路大震災が起きた際の発生確率は0.02~0.8%

です。数%を高いと感じるか低いと感じるかはあなたの感性次第です。


まとめ
  1. 昭和56年5月31日以前の建物は震度5に耐えられるように建てられている
  2. 基本的に無筋基礎、大量壁が少ない、バランスが悪い、劣化しているので、耐震診断をすると悪い評点となる
  3. 昭和56年5月31日以前の建物でも震度7の巨大地震が来ても耐えられる家もある
  4. 劣化している家、ダメージを受けている家は震度5でも耐えられない可能性があるので要注意